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ニュース・技術情報

オフラインフィルタについて

2023.03.27

技術情報

前回は、機械システムに「侵入」するコンタミを除去する対策として「フィルタ」が最も有効であること、またシステム内に配置される各フィルタの種類についてをテーマとしました。安定して高いオイル清浄度を実現する為には、ライン上のフィルタだけでなく、オフラインフィルタとの併用が必要不可欠です。今回のテーマは、オフラインフィルタの種類とメカニズム、またフィルタエレメントの濾過方式についてです。

オフラインフィルタの種類

オフラインフィルタは、濾過原理によって大きく ①静電浄油機 ②遠心分離機 ③物理フィルタの3つに分類できます。フィルタ装置の大まかな構成は同じで、ポンプモーター付きのハウジングと呼ばれるフィルタ本体の中に、汚染物を取り除く役割を果たすアイテムが実装されています。それぞれのフィルタにおいて、どのようなメカニズムでオイルをキレイにするのか、また長所と短所を簡単にご説明します。

静電浄油機

油中のコンタミは、電気的にみると正に帯電しているもの、負に帯電しているもの、電位差がなくて中性を保っているものがあります。帯電したものを電気泳動で、中性粒子を誘電泳動で、ハウジング内に入っているコレクタ(電極)に吸着させます。金属粉のような導電性のコンタミがコレクタに捕集されると電流が流れるので、一定以上の電流が流れると自動停止、もしくは予め設定してある浄油時間に達すると自動停止する仕組みになっています。

帯電しているコンタミは、電気誘導で電極またはコレクタの表面に捕集するが、中性粒子は移動できない。そこで、コレクタをプリーツ型に折り曲げ、尖った部分で電界に歪みを作ることで、そこに勾配力が働き、中性粒子を引き寄せる。この現象を誘電泳動という。
劣化生成物のような半固体状のスラッジも除去可能/大量水分混入時は困難(水分500ppm以下)/処理速度は速くない消泡剤等が除去される可能性あり

遠心分離機

重力の数百倍~数万倍の大きさにした遠心力を利用して、比重の異なる2液及び固形物が混濁している液を、効率的かつ連続的に分離し、沈降・濾過・脱水を行います。下図のように、ハウジング内の分離板を、幾層にも重ね沈降面積を大きくし、かつディスク間の距離を数百ミクロンにして沈降距離を小さくすることで、コンタミを早く沈降させる仕組みとなっています。コンタミが設定量まで溜まると自動的に排出されるものや、手業による清掃が必要なものがあります。

物理フィルタ

ろ孔を持ったろ材(以下、フィルタエレメントという)を油が通過するとき、ろ孔より大きなコンタミを、フィルタエレメントの上に残して油が通過するメカニズムを利用しています。潤滑油・油圧作動油のシステムに組み込んで使用されているのは、ほとんどがこのフィルタです。ハウジング内のエレメント(各種あり)が目詰まりすると、圧力損失が大きくなるため、差圧計で監視することによりエレメントの交換目安としています。

フィルタエレメントの濾過方式

ろ孔よりも小さなコンタミはフィルタエレメントを通過してしまいますが、ろ孔を小さくすると、油には粘性があるため圧力損失が大きくなります。(圧力損失とは、流体が機械装置などを通過する際、摩擦による抵抗に打ち勝つために、その分だけエネルギーを消費することです。)フィルタエレメントの濾過方式には、表面濾過と深層濾過があります。

表面濾過

金網の網目のように、平面に形成された穴によってコンタミを捕捉するメカニズムです。よって、一般的にろ孔を細かくすると捕捉率は上がりますが、ろ孔が細かいほど目詰まりが早くなります。メンテナンスコストは比較的低いですが、選定を誤ると浄化効果が低下するので注意が必要です。メッシュ型とも言われる粗粒子を除去するフィルタで、主に油圧ポンプのサクションに設置するストレーナーや機器の内蔵フィルタとして使用されます。メッシュ型とも言われる粗粒子を除去するフィルタで、主に油圧ポンプのサクションに設置するストレーナーや機器の内蔵フィルタとして使用されます。ろ材:金網・焼結金属 目的:ポンプやギアの突発事故防止

深層濾過

エレメントの材料は、主に天然繊維・化学繊維であり、その多層な繊維の層を抜け出る途中でコンタミを捕捉するメカニズムです(次頁 図参照)。一定の圧力をかけて濾過を行う為、コンタミの捕捉効果は比較的良好です。しかし圧力損失が大きい為、エレメントや油に静電気が発生することがあります。フィルタ寿命は比較的長く、ある程度の水分除去も可能です。微粒子を除去するフィルタであると同時に、大きな表面積を持っているので、全量の油を通過させるインラインフィルタにも使うことが可能です。ロールティッシュ型・糸巻き型・プリーツ型などがあります。ろ材:セルロース繊維・ガラス繊維・合成樹脂繊維 目的:摩耗に繋がるコンタミの除去やバルブのロック減少・オイルの延命

深層濾過における捕捉メカニズム

深層濾過は、直接遮断・慣性遮断・吸着の原理により、比較的大きなものから微細なコンタミまでバランスよく捕捉します。

直接遮断:表面濾過と同様、コンタミがろ材の通路よりも大きい為、通過できず捕捉される。

・慣性衝突:流れの方向が変わるところで、コンタミは慣性力で直進する為、ろ材に衝突して捕捉される。

・吸着:コンタミとろ材の極性の相違によって、コンタミがろ材に引き付けられて捕捉される。

オフラインフィルタ・エレメントは適正な選定を

オフラインフィルタは、インラインフィルタでは取り切れなかった油中のコンタミを除去し、メイン回路から独立している為システム自体に影響を与えることなく、高い清浄度を実現することが可能です。これをラインからの戻り配管付近から油を採取するように設置することで、効率の良い浄油を実施することができます。機械やオイルの寿命を延ばし、設備の信頼性向上に対して絶大な効果を発揮しますが、対象とする機械やそのアプリケーションにマッチしたオフラインフィルタを選定しなければ、経済的にも設備稼働上もメリットがありません。また、フィルタエレメントについても同様、目標清浄度に到達できるよう、それぞれの特長や精度を正しく理解した上で、最適なものを選定することが重要です。「設置されているだけで安心」のフィルタを見直し、適正な選定・運用することが、オイルの清浄度改善、さらには機械やオイルの延命を導きます。

潤滑技術資料

・濾過精度について

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